ベゼルを回したのに、画面がワンテンポ遅れてついてくる感じ。スマートウォッチを長く使っている人なら、あの引っかかりが何を指しているかすぐ分かるはずです。今回のGalaxy Watch9とWatch Ultra2が手を入れてきたのは、まさにそこ。ただし価格も一緒に上がりました。その差額に見合う中身なのか、公開されている数字だけを一つずつ足し合わせていきます。

時間がない人はこの3行だけで大丈夫

  • 最大の変更点はチップ。自社製Exynos系からQualcomm Snapdragonへ乗り換えました。
  • 本当に「世代が変わった」のはUltra2。厚みが1.3mm薄くなり、バッテリーは210mAh増えています。
  • 標準モデルのWatch9は40mmだけバッテリーが20%増。44mmは正直、昨年モデルの微調整レベルです。

ここまでが結論。なぜそうなるのか、ここから数字で見ていきます。

暗いマットなテーブルの上に2台のスマートウォッチが45度の角度で並べられた製品写真。左は丸型ケースの小型モデル、右は角張ったクッション型

チップが変わっただけ、がなぜ大きな話なのか

SamsungのウォッチにはずっとExynos系のチップが載ってきました。それが今世代でQualcomm Snapdragon Wear系へ方向転換。ポイントはブランドが変わったことではありません。

本当のポイントはソフトウェア側の対応です。Wear OSアプリを作る側が最も多く最適化しているチップを採用した、という意味だからです。つまり、アプリ開発者が基準にする土台の上に乗ったということ。

レビューや海外コミュニティの反応をざっと追ってみると、繰り返し出てくる声がありました。ベゼルを回すときとアプリ一覧をスクロールするとき、フレームが落ちない——という評価です。

とはいえ絶賛だけではありません。アプリを初回起動したときにスプラッシュ画面が一瞬挟まるのは相変わらず、という指摘も同じくらい見かけました。

まとめるとこうです。指で画面を送る気持ちよさは確実に上がった。アプリの起動速度はまだ疑問符付き。

Watch9とUltra2、表で並べると答えが見えてきます

言葉で説明すると全部よく聞こえてしまうので、数字だけ抜き出して横並びにしました。2026年7月時点で公開されているスペックです。価格は韓国での発売時価格に円換算を併記しています(為替により変動、参考値)。

項目Watch9 40mmWatch9 44mmWatch Ultra2 47mm
バッテリー390mAh445mAh800mAh
前モデル比+65mAh(約20%)+10mAh(約2%)+210mAh(約36%)
本体重量31.5g34g前モデルより1g増
厚み前モデルとほぼ同等前モデルとほぼ同等10.7mm(1.3mm薄型化)
専用カラークリームシルバーチタニウムシルバー・グレー
価格(Bluetooth)499,000ウォン(約53,000円)539,000ウォン(約57,000円)969,000ウォン台(約103,000円)

目に引っかかるマスが一つありますよね。44mmの+10mAhです。パーセントに直すと2%をやっと超える程度。コーヒーを一口分だけ足したようなもので、実質は横ばいと見るのが正確です。

逆に40mmは20%増。小さいモデルを使いながら毎晩充電器を探していた人には、今回が本当に買い替えるべき世代です。

価格も電卓を叩いてみました。LTEモデルは各サイズで3万ウォン(約3,200円)ほど上乗せ。すると44mm LTEが569,000ウォン(約60,000円)前後。そこからUltra2へ上がるには、さらに40万ウォン(約42,000円)を積む計算になります。

4万円あればエントリークラスのスマートウォッチが一台買える金額です。この差を何で埋めるのか。それが今回の選択のほぼすべてだと思います。

Ultra2はなぜ急に大人しくなったのか

初代Ultraへの不満は何だったか。手首をひねるたびに存在感が強すぎたことです。厚くて、右側ボタンを囲むパーツが飛び出していて、ダイヤモンドカットの光沢も過剰でした。

第2世代はそれをほぼ全部抑えてきました。厚みは10.7mmまで下がり、ボタン横のパーツは囲む形ではなく小さな島のように縮小。ベゼルリングもフラットになりました。

面白いのは画面です。本体サイズはそのままでベゼルを削り、1.52インチ・498×498まで大きくなっています。ガタイは絞って画面は広げた、というわけです。

輝度は公式表記で最大5,000ニト。スマートウォッチとしては初だそうです。

真夏の正午、屋外を走っている途中で画面が見えず、手で日陰を作ってしまった経験。誰でも一度はありますよね。あの手の動きをなくすために出してきた数字です。

強い夏の日差しが照りつける屋外ランニングトラックで、手首のタフネススマートウォッチ画面を接写した写真。画面にはランニングペースと心拍数の指標が眩しい直射日光の下でも表示されている

ダイビングコンピューターになるのに、なぜまたサブスクなのか

今回のUltra2で性格がいちばんはっきり変わったのはダイビング関連です。EN13319認証を取得したことでダイビングコンピューターとして機能できるようになり、水深ゲージも標準搭載。防水も、より厳しい条件に耐える方向へ引き上げられました。

ただし条件が一つ付きます。減圧や無減圧限界時間といった本格的なダイビングコンピューター機能を使うには、専用アプリを別途サブスク契約する必要があるんです。

パートナー企業と共同開発したアプリで、対応時期は下半期と案内されています。月額がいくらかはまだ非公開なので、ここは公式アナウンスをもう一度確認してください。

他のタフネスウォッチも似た流れだと言われています。それでも10万円近い時計を買ったうえで毎月さらに払う、という前提は先に知っておいたほうがいいです。

ダイビングが目的でないなら、この認証は「水にもっと強くなった」くらいの意味で読んでおくのが気楽です。

買う前に必ず確認したい3つの落とし穴

  1. ストラップは互換性がありません。Watch9とUltra2はバンドの取り付け部の規格がまったく別物。UltraのバンドをWatch9に付けることも、その逆もできません。今のバンドをそのまま使うつもりだった人は、ここで足止めされます。
  2. UWBは今回も非搭載。位置をより精密に捉える技術は入りましたが、UWBではありません。車のデジタルキーや精密タグ連携を期待していたなら、いったん諦めてください。
  3. ウォッチフェイスは相変わらず物足りない。新規追加はアナログバランス、顔写真、ラジアルダッシュボード、デュアルナンバーの4つだけ。これ目当てで買う、と言えるものは正直見当たりませんでした。

標準ソフトウェアもアイコンに立体的な効果が入った程度です。画面だけ見せられたら、前世代との区別はほとんどつかないと思います。

代わりに、小さいけれど嬉しい変更もあります。付属バンドの内側をくり抜いたエアポケット構造で軽量化。そして余ったバンド端を留めるストラップキーパーが復活しました。内側に押し込む方式より、普通の腕時計にぐっと近い使い勝手です。

スマートウォッチのストラップ接続部を真上から捉えたマクロ写真。シリコンバンド内側に彫られたエアポケットの溝と金属製ストラップキーパーの輪がはっきり見える

私ならこの基準で選びます

基準は意外とシンプルです。手首の太さと充電習慣、この2つでほぼ決まります。

  • 手首が細くて毎日の充電が面倒だった → Watch9 40mm。今世代でバッテリーがいちばん伸びたモデルです。
  • すでに44mmを使っていて、バッテリー目的で買い替えたかった → 急ぐ必要はありません。容量は2%増です。チップ性能が目的のときだけ移りましょう。
  • 屋外での運動が日常で、画面が見えないのがストレスだった → Ultra2。厚みが薄くなった点が今回いちばん大きな変化です。
  • バイブ通知をよく見逃す → Ultra2のほうがX軸リニアモーターで、振動が重く伝わります。

今日一つだけ試すとしたら。いま着けているウォッチを外して、手のひらに載せてみてください。重さと厚みを手で測ってみる、それだけです。

31.5g、10.7mm。表で見る数字と、手首に乗せたときの数字はまったく別物なんです。

時計はスペック表で買うものではありません。1日16時間、肌に触れ続けているものだからです。