週末の朝、検索窓に「子連れ 旅行 おすすめ」と打ち込んで、延々スクロールした末に結局タブを閉じてしまう。あれ、誰にでもありますよね。上位に出てくるのはいつも似たような場所ばかりで、それがうちの子に合うかどうかは、結局わからないままなんです。

そこで、海・高原・歴史・伝統とそれぞれ性格のはっきりした韓国の家族旅行先5か所を、季節と目的別に絞り込みました。ソウルや釜山の定番コースには出てこない、韓国の「地方の顔」が見える場所ばかりです。どんな家族にどこが合うのか、選び方の基準まで一緒に。情報は2026年7月時点のものです。

先に結論から。

  • スリルのある体験がしたいなら東海(トンヘ)のトジェビゴル・スカイバレー、自然のなかで歴史をたどるなら寧越(ヨンウォル)。
  • 夏の暑さを避けたいなら標高800mの大関嶺(テグァンリョン)の牧場、伝統と癒しなら山清(サンチョン)。
  • 子どもの歴史学習が目的なら、街全体が遺跡の慶州(キョンジュ)が答えです。

海の上を歩くって、どんな気分だろう — 東海・トジェビゴル・スカイバレー

江原道(カンウォンド)東海市の墨湖(ムクホ)にあるトジェビゴル・スカイバレーは、青い日本海(韓国では東海)と空を背景に、足がすくむような体験を楽しむスポットです。「トジェビ」は鬼・妖怪を意味する江原道の方言。墨湖灯台とノンゴルダムキル(壁画の路地)が続く坂の町の空気が、そのまま名前に残っています。

海に向かって伸びる高さ59メートルの強化ガラスのスカイウォークを歩く人々、足元に青い東海の水面が遠く見下ろせる場面、橋の上から正面

ここの名物は、海へまっすぐ伸びる高さ59mのスカイウォーク。一部区間が強化ガラス張りになっていて、足の下に何もない空間がそのまま見えます。マンションでいえば20階ほどの高さを、ガラス一枚の上で味わうわけです。思わず脚に力が入るあの瞬間が、いちばんの醍醐味なんですよね。

すぐ隣には、鬼の金棒をモチーフにした全長85mの海上遊歩道「ヘラン展望台」が続きます。両方を歩けば、四方に開けた海の眺めをまるごと持ち帰れます。

項目内容
場所江原道東海市 墨湖津洞(墨湖灯台のすぐ近く)
目玉の体験高さ59mスカイウォーク(強化ガラス区間あり)、85mのヘラン展望台
あわせて回るなら墨湖灯台、ノンゴルダムキル(壁画の町)
アクセスソウルから鉄道またはバスで3時間前後。江陵(カンヌン)から車で約40分

家族向けメモ:墨湖灯台・ノンゴルダムキルと歩いてつながるので、半日コースにまとめやすいです。高いところが苦手な子は、ガラス区間を避けて通常のデッキ側を通れます。無理をさせず、子どものペースで。江陵に宿を取ってレンタカーで日帰り、という組み方が現実的です。

川に囲まれた、幼き王の流刑地 — 寧越(ヨンウォル)

寧越は、澄んだ東江・西江・平昌江が合わさる山紫水明の町。見どころが川沿いに点在しているので、自然と歴史をいちどに味わえます。

まず挙げられるのが清冷浦(チョンリョンポ)。叔父の首陽大君(のちの世祖)に王位を奪われ、この地へ流された朝鮮王朝6代目の王・端宗が過ごした場所です。東・南・北の三方を川が囲み、西側は険しい岩壁が塞いでいて、渡し船がなければ出入りできない「島のような陸地」になっています。

現在は2008年に韓国の名勝第50号に指定されていて、内部には端宗の御所跡、樹齢数百年の松「観音松」、望郷塔が残っています。もうひとつの名所・高氏洞窟(コシトングル)は、4億年の時間がつくった鍾乳洞。文禄・慶長の役(韓国では壬辰倭乱)のときに高氏一族が避難したことから、その名がついたと言われています。

スポット特徴
清冷浦端宗の流刑地。名勝第50号。渡し船でのみ入れる
高氏洞窟4億年の鍾乳洞。避難伝説が名前の由来
東江・平昌江ラフティング、ロープ渡し船などの川遊び

家族向けメモ:清冷浦は渡し船で渡るという行為そのものが、子どもにとって特別な体験になります。夏なら東江のラフティングをセットで計画してみてください。平昌(ピョンチャン)や江陵と組み合わせると、江原道内陸の2泊3日がきれいにまとまります。

雲の上の牧場で一日 — 標高800mの大関嶺

大関嶺(テグァンリョン)は、平昌郡と江陵市の境にある標高832mの峠。夏は涼しい避暑地、冬は雪景色の広がるリゾートへと、季節ごとに表情を変えます。稜線に並ぶ風力発電の風車が牧場やスキー場と重なって、韓国ではなかなか見られない、北海道の丘めぐりのような景色が現れます。

標高800メートルの緑の稜線に白い風力発電の風車が並ぶ大関嶺の高原牧場、緩やかな丘で草を食む羊の群れが散らばっている場面、稜線の下から

大関嶺といえば外せないのが「三大牧場」。地図を開いてみると、3か所が大関嶺の稜線沿いに近く固まっているんですよね。つまり問題は「どこへ行くか」ではなく「どの一か所を選ぶか」です。

  • サムヤン・ラウンドヒル(旧・三養牧場) — 圧倒的なスケールの超大型牧場。頂上付近では風車を目の前で見られます。
  • ハヌル牧場(空の牧場) — 1974年の造成後、長く立入制限区域でしたが2014年に開放。トラクター馬車でハヌルマル展望台まで往復できます。
  • 大関嶺羊牧場 — 規模は小さいものの、羊に餌をやりながら散歩する、こぢんまりとした楽しさがあります。
牧場特徴
サムヤン・ラウンドヒル超大型スケール、風力発電の風車を間近に
ハヌル牧場トラクター馬車体験、展望台
大関嶺羊牧場羊の餌やり、短い散策コース

家族向けメモ:小さい子なら歩く距離が短くて動物と近い羊牧場、小学生以上ならスケールの大きいサムヤン・ラウンドヒルのほうが反応がいい、とよく言われます。行く前に一か所だけ決めておくと、移動がぐっと楽になります。真夏でも標高が高く、平地より5℃前後(約9°F)涼しいので、羽織るものを一枚。ソウルからはKTXで江陵まで約2時間、そこからレンタカーかタクシーが現実的です。

石垣の路地で時間を遡る — 慶尚南道・山清(サンチョン)

智異山(チリサン)のふところに抱かれた山清は、清らかな自然と伝統韓方(韓国の伝統医学)で知られる町。代表的な見どころが南沙芸談村(ナムサ・イェダムチョン)です。

古い土壁の石垣と韓屋がそのまま残る伝統集落で、「韓国で最も美しい村」に選ばれるほど、しっとりとした風情があります。曲がりくねった石垣の道を歩いていると、体験プログラムのようなものが何もなくても、それだけで時間を遡っているような気分になる——白川郷や妻籠宿を歩くときのあの感覚に、少し近いかもしれません。

山清は古くから智異山の薬草で有名で、伝統韓方の本場と呼ばれてきました。そのアイデンティティをテーマパークにしたのが東医宝鑑村(トンイボガム村)。日本でもドラマでおなじみの医書『東医宝鑑』にちなんだ施設で、韓医学博物館・韓方体験場・薬草展示館がそろっていて、子どもと一緒に韓国の伝統医学を遊びながら学べます。

スポット特徴
南沙芸談村伝統的な石垣の路地と韓屋の古民家、韓服(ハンボク)体験
東医宝鑑村韓方テーマパーク、薬草・韓医学の体験
智異山のふもとトレッキング、渓谷、薬草の栽培地

家族向けメモ:南沙芸談村 → 東医宝鑑村を一日コースにまとめ、余裕があれば智異山方面の渓谷をプラス。中身の詰まった1泊2日になります。日本からは釜山(金海空港)を起点にすると近く、釜山から車で2時間前後です。

街そのものが教科書 — 千年の古都・慶州

慶州(キョンジュ)は新羅千年の都であり、街全体が遺跡で満ちた場所。日本でいえば京都と奈良を合わせたような都市で、子どもに歴史を「目で見せてあげられる」最高の教科書のような旅行先です。

日暮れ時にライトアップされた慶州・大陵苑のゆるやかな新羅古墳の稜線とその間を通る散策路、遠くに瞻星台のシルエットも見える場面、散策路の目線の高さから

まず訪ねたいのが仏国寺と石窟庵。吐含山のふもとに立つ仏国寺と、精緻に設計された人工石窟の石窟庵は、1995年にそろってユネスコ世界文化遺産に登録されました。瞻星台(チョムソンデ)・大陵苑・南山を含む「慶州歴史地域」も2000年に世界遺産入り。つまり慶州は、世界が認めた遺産が幾重にも積み重なった都市なんです。

市街地には、現存する東アジア最古の天文観測施設とされる瞻星台と、新羅の王・貴族の巨大古墳が集まる大陵苑が、歩いて回れる距離にあります。新羅がしばしば「シルクロードの東の終着点」と呼ばれることも、子どもに話してあげるといい題材。実際、慶州の遺跡からは西方との交流の痕跡がいくつも見つかっているそうです。奈良の正倉院の宝物と重ねて話すと、ぐっと身近になります。

スポット特徴
仏国寺・石窟庵1995年ユネスコ世界文化遺産
瞻星台現存する東アジア最古の天文観測台
大陵苑新羅の王・貴族の古墳群。街なかを散策
アクセス釜山から鉄道で約30分、ソウルからKTXで約2時間

家族向けメモ:昼は仏国寺・石窟庵、夕方はライトアップされた大陵苑と瞻星台のあたりを歩いてみてください。一日で昼と夜、両方の慶州を持ち帰れます。日本からは金海(釜山)空港イン、慶州泊が組みやすいルートです。

うちの家族にはどこが合う? — 5か所を一覧で

5か所を並べてみると、選ぶのがずいぶん楽になります。

旅行先エリアキーワードこんな家族に
トジェビゴル・スカイバレー江原道・東海海・スリルドキドキする体験がしたい家族
寧越江原道・寧越歴史・川自然のなかで歴史をたどりたい家族
大関嶺江原道・平昌/江陵高原・牧場広い風景と動物とのふれあいを求める家族
山清慶尚南道・山清石垣・韓方伝統と癒しを求める家族
慶州慶尚北道・慶州遺跡・歴史子どもの歴史教育を重視する家族

ちなみに江原道の3か所(東海・寧越・大関嶺)はソウルからのルート、山清と慶州は釜山からのルートでまとめると、移動がぐっと減ります。5か所を一度の旅で回るのはさすがに欲張りすぎ。だから今週末は、カレンダーを開いてたった一文だけ決めてみてください。海が見たいのか、暑さから逃げたいのか、子どもに歴史を見せたいのか。その一文が決まった瞬間、行き先はもうこのリストの中にあります。