毎月の電気の請求額を見るたびに、まずため息が出る……という方、けっこう多いですよね。お隣の韓国では2026年から、料金の「仕組みそのもの」が変わります。同じ量を使ってもいつ使ったかで請求額が変わる方式です。
今回の改革の中身は、ざっくり言えば「昼は安く、夕方は高く」。まだ家庭向けは対象外ですが、順番から言えば最後は家庭に降りてきます。そしてこれ、日本の電気料金プランが向かっている方向とまったく同じなんです。日本ではスマートメーターがすでにほぼ全戸に設置済みで、時間帯別プランや市場価格連動型のプランは今でも選べます。つまり「よその国の話」ではなく、先に事例を見ておくと得をする話。順番に整理していきます。

「時間帯別料金」ってそもそも何?
時間帯別料金は、韓国では「季時別料金制(季節別・時間帯別料金)」と呼ばれます。1日を軽負荷・中間負荷・最大負荷の時間帯に分け、電力需要が集中する時間は高く、電気が余っている時間は安く設定する方式です。春・秋の週末の昼間のように電気が余る時間帯は、電力量料金が半分近くまで下がります。
理由はシンプルです。太陽光発電が増えて昼間はむしろ電気が余り、みんなが帰宅する夕方に足りなくなる。だから料金で使用時間を分散させたい、というわけです。日本で聞く「ピークシフト」「昼シフト」とまったく同じ発想ですね。要するに、電気を安い時間に移して使える人が得をする構造に変わっていきます。
2026年、まず誰から適用される?
今回の改革は全ユーザー一斉ではなく、電気を大量に使うところから段階的に始まります。最初は産業用の大口(韓国の区分で「産業用(乙)」)で、これだけで産業用電力消費量の約46%を占める大規模事業所だそうです。
実施スケジュールを整理すると、こんな順番になります。
| 対象 | 実施時期 |
|---|---|
| 産業用(乙)=大口事業所 | 2026年4月16日 |
| EV(電気自動車)充電料金 | 2026年4月18日 |
| 産業用(甲)Ⅱ・業務用(一般用) | 2026年6月1日 |
| 住宅用(家庭) | 未定(スマートメーター普及後) |
ここでのポイントは、住宅用=家庭はまだ今回の対象ではないということ。時間帯ごとの使用量をリアルタイムで計測できるスマートメーター(AMI)の普及が前提になるためです。韓国政府は段階的に広げるとしていますが、家庭への適用時期は現時点で決まっていません。日本はこの前提条件をすでにクリアしているので、制度が動き出せば話が早い、という違いもあります。
昼と夜で、料金は実際どれくらい違う?
大口の産業用を基準に見ると方向性はかなり明確です。春・秋を例にとると、電気が余る軽負荷の時間帯は1kWhあたり5.1ウォン(約0.5円)値上がりします。一方、需要が集中する最大負荷の時間帯は逆に1kWhあたり15.4ウォン(約1.6円)値下がり。全体平均では、大口産業用の電力量料金は1kWhあたり1.7ウォン(約0.2円)ほど下がる見込みです(1円≒9.3ウォンで換算)。
とくにおいしいのがEVユーザーです。充電料金は4月18日から実質半額の割引が適用され、公式表記では従来の電力量料金97.2ウォン(約10.4円)/kWh の水準から、1kWhあたり40.1〜48.6ウォン(約4.3〜5.2円)が割り引かれます。電気が余る時間帯に充電する習慣をつけるだけで、差額はかなり大きくなります。日本でも夜間や昼間の余剰時間に充電を寄せられるEVプランは多いので、考え方はそのまま応用できます。

結局、我が家の電気代は何%上がるの?
正直に言うと、いま「何%上がる」と断言できる段階ではありません。韓国の家庭向けは従来の累進制がそのまま維持されていて、時間帯別料金がいつ適用されるかも確定していないからです。不確かな数字で不安をあおる意味もないですよね。
ただ、方向はハッキリしています。将来家庭に適用されれば、夕方に電気を集中して使う家ほど負担が増え、昼間に寄せられる家はむしろ有利になる。これは日本で時間帯別プランに切り替えるときの損得とまったく同じ話です。今から少しずつ習慣を変えておけば、実際の切り替え時点で損をしにくくなります。
- 洗濯機・乾燥機・食洗機は予約機能で昼の時間帯に回す
- EV・電動キックボードの充電は料金の安い時間帯に後ろ倒し
- 夕方のピーク時間帯(だいたい夕方〜夜)は高出力家電の同時使用を控える
- プラン変更の案内が来たら、まず自宅の使用パターンを点検する
いま韓国の家庭に適用されているのは「累進制」
混同しやすいところから整理します。今回の改革は時間帯別(季時別)料金の話で、いま韓国の住宅用に適用されているのは依然として累進制です。2つはまったく別の計算方式です。
- 累進制 — 「1か月にどれだけ多く使ったか」で単価が上がる仕組み。いつ使ったかは問いません。日本の三段階料金制度に近い考え方ですが、韓国は段差がずっと急で、夏の請求額が跳ねる原因になります。
- 時間帯別料金 — 「いつ使ったか」で単価が変わる。総量よりも時間帯が効いてきます。
つまり、この夏の請求額を左右するのは相変わらず累進の区間ということ。夏場の緩和措置や具体的な計算方法は夏の電気代と累進制:計算方法から「450kWhライン」の防衛までで別にまとめています。
家庭に降りてきたら、何が変わる?
時間帯別料金が住宅用まで広がると、管理のポイントが丸ごと入れ替わります。これまでは「1か月の総量」だけ気にしていればよかったのが、そこからは同じ総量でも、いつ使ったかで請求額が分かれるようになるわけです。
先に身体に入れておくと得な習慣は、こんなところ。いまは料金に響かなくても、プランが切り替わった瞬間からそのまま得になります。
- 後ろ倒しできる電力から動かす。 洗濯機・乾燥機・食洗機はたいてい予約機能つき。夕方のピークを避けて回す習慣だけで、準備の半分は終わりです。
- 充電は深夜か昼間に。 EVはもちろん、ノートPC・モバイルバッテリー・ロボット掃除機のように「いつ充電してもいいもの」は思っているより多いです。
- スマートプラグで自動化。 予約機能のない家電は、コンセント側でタイマーをかければOK。一度設定すれば、あとは放っておけます。
- ピーク時間に高出力家電を重ねない。 エアコン・IHクッキングヒーター・乾燥機を同時に回す瞬間が、いちばん高い時間になり得ます。
鍵を握るのはスマートメーター
韓国で家庭向けの適用時期が決まらない理由はシンプルです。時間帯別に使用量を計測するにはスマートメーター(AMI)が必要なのに、全国での設置がまだ終わっていないからです。
韓国では自宅にAMIが入っているかを韓国電力(KEPCO)の公式アプリで確認できます。日本の場合、スマートメーターへの交換はすでにほぼ完了しているので、各電力会社のマイページやアプリから30分単位の使用量を今すぐ見られる方が多いはず。プランを変える前に、まずは自宅が1日のうちいつ電気を集中して使っているかを把握しておくのがおすすめです。
パターンが分かると、動かせる使用量がどれくらいあるか感覚がつかめます。動かせるものがほとんどない家では時間帯別料金が不利になり得ますし、昼間に家が空く家ならむしろ有利になり得る、という判断ができるようになります。
時間帯別料金に変わったら、自分で選べるの?
韓国での導入方式はまだ確定していません。海外の事例を見ると、まずは選択制でスタートして段階的に広げるケースが多く、韓国国内の適用方式は今後の告知待ちです。日本はすでに選択制で、従量電灯と時間帯別プランを自分で選ぶ形になっています。
昼間に家が空いていれば、必ず得になる?
おおむねその方向です。ただし夕方に帰宅してエアコン・調理・洗濯を一気に重ねると、その利点は打ち消されてしまいます。結局のところ、ピーク時間をどれだけ避けられるかが勝負どころです。
まとめると
韓国の2026年電気料金改革(時間帯別=季時別料金)は、昼は安く夕方は高い構造です。2026年4月の産業用大口を起点に、6月には業務用まで拡大。家庭(住宅用)はまだ対象外ですが、スマートメーターの普及とともに最終的には適用される流れです。
そして日本の私たちにとっては、これは「未来の話」ではなく今すぐ選べるプランの話。いちばん確実な備えは、「電気をいつ使っているか」を意識することです。地味に思えますよね。でも高出力家電を昼の時間帯に寄せる小さな習慣ひとつが、プランを切り替えた瞬間からそのまま節約に変わります。今日はまず、自宅の1か月の使用パターンを覗いてみてください。
家庭の電気料金も時間帯別に変わっていくの?
韓国では方向性はそうですが時期は未定。時間帯別の使用量を測るスマートメーター(AMI)の普及が十分になってから段階的に適用される予定です。日本はすでに時間帯別プランを選べる状態です。
時間帯別料金にすると、必ず料金が上がる?
いいえ。電気をいつ使うかで変わります。電気が余る昼の時間帯に使用を寄せられれば逆に安くなりますし、夕方のピークに集中させれば負担は増えます。
今すぐ準備できることはある?
洗濯や充電のように「後ろ倒しできる電力」から昼の時間帯に移してみてください。そのうえで、電力会社のマイページで自宅の時間帯別使用量を一度チェックしておくと判断がラクになります。