サブスク料金は毎月きっちり出ていくのに、いざ作業を始めるときになると「これ、どのモデルで回そう?」と迷ってしまう。Opus 5が加わって3つになったので、ベンチマークの数字を眺めるだけでは余計に判断しづらくなりました。

そこで同じプロンプトを3モデルにまったく同じ形で投げて、さらにトークン料金と利用上限まであわせて計算してみました。実力のランキングをつけたいわけではなく、どこに何を使えばコスパがいいのかだけを整理しています。ちなみにOpus 5とFable 5はClaude系で、SolはChatGPT 5.6のモデルです。先に言ってしまうと、この3つは実力よりも「性格」が違いました。

  • 難しくて複雑な作業はFable 5 → Opus 5の順。差は思ったより小さめでした。
  • 速くて単純な繰り返し作業なら、Solは今でも軽くて速いです。
  • Opus 5はFable 5のちょうど半額で、しかも利用上限が別枠。コスパ枠のカードが1枚増えました。

3つのモデル、実力より「性格」が違う

同じテーマでゲーム1本、短編小説1本、統計を見せるWebページ1枚を作らせました。条件はできるだけ公平に揃えています。結果を自分で検証して直すオプションはオフ。そして各モデルの標準の最高設定で1回だけ実行しました。「一発でどこまで仕上げてくるか」を見たかったからです。

暗いスタジオの背景に半透明のガラスパネル3枚が少しずつ角度をずらして空中に浮かび、それぞれのパネルの奥に紫・青緑・オレンジの光がにじんでいる

面白かったのは、Opus 5とFable 5が双子みたいに似ていること。仕上がりの質感も、解き方の方向性も、表現のセンスまで近くて、成果物だけ見るとどっちがどっちか分からないくらいでした。

Solは明らかに別の道を行きました。方向性は合っているのに、詰めがあと一歩。その差が3つの作業を通してずっと繰り返されるんです。

難しくて複雑な作業、結局どれが強いのか

同じゲームのプロンプトで、ロジックは3つとも一発で動きました。浸水前に予報を出して、排水ポンプを回して、救助信号を送る、というルールを6ターン以内に収めるシンプルな構成なので、ロジックでは差がつきませんでした。

差が出たのは「詰め」のほうです。Solが作った画面は、安全な航路を指す矢印の位置がわずかにズレていて、円の横にくっつくはずの線が離れたまま出てきました。大きなバグではないけれど、検証をさらっと流した感じが残っています。一方でOpusとFableは、アニメーションの整列や要素同士の結合といったディテールを、一発でよりきれいに合わせてきました。

ここで立てた仮説はひとつ。モデル自体の知能よりも、結果を自分で検証して直す「裏側(ハーネス)」の完成度が、最初のアウトプットの質を分けるということ。実際、Solも2回目のプロンプトで「直して」と頼めばきちんと直します。ただ一発で終わらせる力はClaude系が前に出ていた、というのが今回の観察の中心です。検証オプションを上げればSolとの差もかなり縮まります。

日本語の文章、もうClaudeは負けていません

使い込まれた木の机の上、クリーム色の原稿用紙に万年筆で丁寧に書かれた日本語の文章。右側から差し込む赤い非常灯の光が紙の表面を照らしている

少し前までは、日本語のアウトプットが必要ならとりあえずGPTでした。文章の自然さでClaudeがひと歩ぶん後ろだったんですよね。私も日本語の成果物は、ほぼ習慣でGPTから出していました。

今回は同じ条件の短編小説を3つに書かせたのですが、どれが上とは言いにくいくらい、どれも自然でした。助詞の違和感も、翻訳っぽさもほとんど消えています。

分かれたのは意外にも「空気感」でした。停電と同時に非常灯がつく冒頭の雰囲気を、どれだけ密度をもって掴めるか。そこで微妙に開きが出たんです。主観的な感想としては、Fable 5の文の流れがいちばん滑らかで、Opus 5がわずかな差で続く形。ただ確かなことがひとつ、「日本語=GPT」という前提はもう手放していいと思います。

Web・インタラクションを作ると、ここで差が出る

統計とインタラクションを含むWebページで、差がいちばんはっきりしました。マウスを乗せると数値が変わり、センサーを押すと値が更新される、最近のダッシュボードによくある形です。

OpusとFableはホバー(マウスオーバー)ベースのインタラクションを自然に実装して、タイムラインの点と線もぴったり合っていました。Solはホバーではなくクリックで処理していて、タイムラインのポイントもズレたまま。モバイル前提でなければ、いまのWebはホバーのほうがずっと自然ですよね。

線と座標がぴったり合わないといけない精密なUIでSolがよく外す印象は、さきほどのゲームで見たパターンとそのまま重なりました。偶然ではなく傾向、ということです。

「半額」という言葉、まず表にして確かめた

「半額」はマーケティングでありがちな言葉なので、まず疑ってしまいます。というわけで、公開されている料金をそのまま表に移してみました。2026年7月時点の公開料金ベース、円換算は1ドル=150円で計算しています。

区分入力100万トークン出力100万トークン
Opus 55ドル(約750円)25ドル(約3,750円)
Fable 510ドル(約1,500円)50ドル(約7,500円)

料金自体は明快です。Opus 5は従来のOpusと同じ値段で、ひとつ上のFable 5のちょうど半分。性能はCursor Benchの最高難度でFable 5のトップスコアと0.5%以内の差なのに、作業あたりのコストは半分。電卓をもう一度出したくなるのも当然です。

速度は面白いことに、作業の種類によって入れ替わりました。コードや画面まわりはOpusが少し速く、文章はむしろFableが先に出してくる。一言で断言しづらいところです。

基準Opus 5Fable 5Sol(ChatGPT 5.6)
難しい作業の完成度非常に高い非常に高い良いが詰めが甘い
日本語の文章力自然いちばん滑らか自然
精密なUI・整列強い強いよくズレる
相対的な価格安い(約半額)高い中間
得意な領域コスパ・複雑な作業最上位の品質速く単純な作業

本当の要点は、利用上限が別枠で回ること

正直、いちばん効いたのは性能でも料金でもありませんでした。上位モデルと利用上限が分かれているという点です。

これまでは上位モデルのクレジットを使い切ると、その日の作業は事実上ストップでした。でも今回は、その上限を使い切ってもOpus 5は別のポケットからそのまま動きます。月額を100%絞り切って使うタイプの人には、これは性能の数字よりずっと実質的です。

思考の強度には段階がありますが、私のおすすめの感覚はこんな感じ。

  • High — コスパ帯。ほとんどのコーディング・自動化はここで十分です。
  • Extra High / Max — 複雑な3Dや長いリファクタリングみたいに、あと一歩だけ詰めたいときに上げる。

もうひとつ。以前の上位モデルはプロンプトが少し曖昧なだけで安全分類器が介入して、作業がぶつぶつ切れることがありました。今回はその介入頻度が従来比85%減と発表されています。ワークフローが途中で止まらないというのは、思ったより大きいです。

短いプロンプトでどこまで出るのか

かわいらしいローポリ3Dの牧場タイクーンゲームのゲーム内画面。緑の丘の上に乳牛が3〜4頭、画面上部にはミルクゲージが溜まっていく表示

数行の短いプロンプトで「牛を育てて牛乳を搾って売る牧場タイクーン」と頼むと、3Dの乳牛が立っていて、ミルクゲージが溜まり、出荷するとお金が積み上がる、という流れまで一度に出てくるデモが動きます。以前なら数日は張り付いていた作業が、プロンプト1段落で形になるわけです。

スクロールに反応して要素が立体的に動くWebサイト、写真をアップすると自動でグッズ箱のモックアップを作ってくれるWebアプリも同じ流れ。アイデアの解像度がそのまま成果物の解像度になる領域に入ってきました。

画像・動画までモデルが自分で用意してくる

左右に分かれた画面構成。左はコードエディタのウィンドウ、右は生成されたばかりの製品モックアップ画像1枚と短い動画のサムネイル

最近おもしろい流れは、コードを書いて終わりではなく、その中に入れる画像・動画の素材までモデルがその場で作って差し込んでくれることです。

やり方は大きく2つ。Webインターフェースでは MCPコネクタで画像・動画の生成ツールをつなぎ、成果物を自分のPCへ直接落としたいときは CLIのコマンドをターミナルに貼って、ログイン1回でつなぎます。

で、結局どう使い分ければいい?

中央が完全に水平になった天秤。片側にきらめくコインの山、もう片側に小さなロボット2台が並んで座り、釣り合っている

  • トークンがギリギリなら — 基本は全部Opus 5で回して、複雑な作業のときだけ上位の検証オプションをオンにする形がおすすめです。
  • いまGPTだけを使っているなら — 今月か次の課金からでも、一度Claudeを足してみる価値があります。日本語の差がなくなった今は体感がけっこう変わります。
  • 難易度で並べるなら — 難しい作業はFable → Opus → Sol、速くて単純な作業はSol → Opus → Fableの順。Solの高速モードが手に馴染まないなら、そこをOpusに替えても問題ありません。

今日ひとつだけ試すなら、よくやっている作業を1つ選んで、3モデルに同じプロンプトを入れてみてください。ベンチマーク100行より、自分の手で得た1回の結果のほうがずっと正確です。結局いいモデルって「1位」ではなく、自分の作業のリズムに合うモデルなんですよね。